Under The Darkness




「まあ。大阪でも一流のホテルに泊まれるなんて。美里の弟さんはえらいお金持ちやねんねえ」


 いやみったらしい口調でそう言うと、栞ちゃん、私の耳元に唇を寄せてきて、


「美里、さんざん貢いでもろて、あの男、すってんてんにしたり」


 さらりと毒を吐く。どうやら栞ちゃんは、京介君の事がお気に召さなかったらしい。

 栞ちゃんの助言に、私は「はは」と、乾いた笑いが口からもれた。


「それは……そういうんは栞ちゃんに任せるわ」


「うふふ。せやな。アホなアンタに男手玉に取れるほどの頭はないわなあ」


 口元に指先を持っていって、栞ちゃんはころころと嫋やかに嗤う。


「ひどっ! 私のことなんや思てんの!?」


「可愛いうちのペットかな?」


「もうすでに人でさえあらへんやん! 悠宇―栞ちゃんがまたいけず言う!」


 私は悠宇に泣きついた。

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