Under The Darkness




「それは許可できない。美里さんは、」


 しかめっ面をする京介君の否の言葉に、栞ちゃんがカッと鬼女の顔になる。

 私はギョッと目をむいた。


「黙りい!! 血ィ繋がってるかしらんけどな。アンタ如きぽっと出の人間に、こんな状態の美里を渡せるかいな!! ヤクザかなんか知らんけど、あんまり調子に乗ってたらいてまうで!」


 ……凄い。さすがの京介君も目を見開いたまま唖然としてる。

 京介君のあの怖い目を見ても平気で、しかも言葉を被せてさらに文句を言うなんて、ホントに凄い。

 栞ちゃん、普段はおっとり大人しいけど、いざとなると男なんかより凄まじく格好いいんだ。

 私は尊敬の眼差しで栞ちゃんを見つめた。


「美里さんはそれを望むのですね」


 京介君は腕を組んだまま、仕方ないと言った顔で、苦い笑みを浮かべてる。

 もしかしてOKなのかなって感じて、私、すごく嬉しくなった。


「うん! 栞ちゃんと一緒におる! おりたい!」


 声が弾んで、子供のようにはしゃいでしまう私に、京介君はフッと相好を崩した。


「分かりました。このホテルに部屋を用意します。そこで、ふたり一緒にいればいい」


 その言葉に、栞ちゃんが反応した。

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