Under The Darkness
「痛っ! 自分でやる言うてるやん!」
「答ええ」
栞ちゃん、じっと下から覗き込むようにして睨んでる。
脅す声が怖い。
「だ、だって、ママの名前知ってたし、お父さんもママの写真いっぱい持ってたし。ふたりで映ってんのちょっとしかなかったけど」
ビクビクしながらも、栞ちゃんの手を引き剥がしボソボソと返事する。
「は? たったそんなけで信じたん? ほんでお父さん病気やからって東京行くって? アホちゃうの自分。ウソやったらどないするん。美里、いつか海外売られるで」
終わり、とばかりに肩を思いきり叩かれ、「ぎゃっ」と声を上げた。
半べそになりながら、私は備え付けてあったガウンに袖を通して、むっつりと半眼で栞ちゃんを睨んだ。