Under The Darkness






「脱出経路はバッチシやねんから」


 ここは2階だ。それほど高くないし、下には低いツツジの木、まず落ちても怪我はしまい。

 ほくそ笑みながら、ベランダの枠に足を掛け、ピョンッと飛び下りた。


「あぅっ」


 足から着地したものの、そのまま尻餅をついてしまう。


 でも、逃げるが勝ちだ。

 私は携帯を取り出し、まず、悠宇に電話を掛けた。

 携帯を手に、私は目的地に向かい全速力で駆け出す。

 ワンコールで悠宇の焦った声が聞こえてきた。


『みぃちゃん!? 無事か!? 栞に聞いたで! あのヤクザもんに連れて行かれてんて!? 栞、連れてかれた部屋行ったらしいけど、ヤクザらに叩き返された言うて悔しがっとったんや。栞じゃアカンねん。ちくしょっ! もっと早かったら仕事ぶっちしてでも助けに行ったのにっ』


 悔しげな悠宇の声に、私は息を弾ませながら答えた。


「ええねん、ってか、今助けて」


『え?』


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