Under The Darkness




「うん、絶対逃げたる!」


『よっしゃ。ほんなら何時に落ち合う?』


「今から出る。どれくらいで来れそう?」


 部屋に掛けられた時計に視線を流し、どれくらいで用意できるか素早く計算する。


『その住所やったら、事務所からそない離れてないしタク拾て15分で行ける思う』


「了解。ありがとう、恩に着る」


『オレとみぃちゃんの仲やんけ』


 悠宇の声に闊達さが戻り、私はホッと胸をなで下ろした。

 そして、声を潜めるようにして、伝える。


「一応な、私、変装するから」


『変装?』


「言うても元の姿やねんけど」


『ああ、カラコン外すんやな』


 ――久しぶりやな、みぃちゃんのホンマの姿見んの。


 悠宇の声が弾む。

 そう言えば、小学校に上がる前まではそのまんまだったと思い出して苦笑する。


「私、英語さっぱりやけど、カラコン外して金髪したら、英語で話しかけられるくらいパッと見、外人さんやからね」


 以前、金髪碧眼な元の姿で撮影した際、同じモデル仲間の男子に英語で話しかけられたことがある。

 何を話しているのかちんぷんかんぷんで『ストップ! アンタ日本人やったら日本語で話してくれんかな!?』って言ったら、きょとーんってされたし。


『OK! 待ってるで』


 弾む声でそう言うと、悠宇は電話を切った。

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