Under The Darkness
舎弟さんに見張られながら部屋へと戻った私は、お父さんからもらったスマホに視線を落とした。
――悠宇、あの後、電話切っててくれたかな。
昨日のことが頭を過ぎる。
まさか、ずっと聞いていたなんて事はないだろう。
けれど、どこまで聞かれていたのかわからない。
もしかして、京介君が放り投げた時に切れたかも知れない。
考え出したらキリがなかった。
私は部屋に戻り、意を決して悠宇の番号をダイヤルする。
数回のコール音の後、悠宇が出てきて私に緊張が走った。
『……誰』
「悠宇っ……! 私、美里」
『み、みぃちゃんか! 今どこや!? 大阪か!? 新幹線で迎えに行く!』
「助かった! 私、今、東京の馬淵邸におるんよ。住所言うから、タクで近くまで来て欲しい。お願いっ!」
私はお父さんの机から拝借したDMに書かれてある住所を伝えた。
『よっしゃ、わかった。逃げて来いよ。……絶対に』
どこか昏い彼の声に首を捻ったが、まずは用件だけでも伝えねばと心が急いた。