Under The Darkness



 自嘲するように淡く微笑む京介君に、少しだけ胸が痛んだ。


「……京介君とは会って間もないのに、なんもかんも全部話せるわけないやん」


「確かに。仰る通りですね」


 そう頷くと、嘘の見えない本当の感情が彼の顔からふぅっと消え失せ、京介君は再び偽りの仮面を被る。

 そして、ひっくり返るようなことを言ったんだ。


「それはそうと、学校の編入手続きは完了しました。来週明けから『杏桐学園』へ通っていただきますので、それまでには東京に戻りますよ」


「え」


 そのまま固まってしまう。

 今、京介君は何を言った?


「学校も卒業まであと僅かですが、私と同じ所へ通っていただきます。これから先、悠宇といた時間よりもずっと長く一緒に居るのです。何かあったら、あの男ではなく、私に何でも相談してくださいね」


 ――わかりましたね。


 ふっと唇だけの笑顔を向けられる。

 京介君の口調は、命令じみたものだった。

 丁寧な話し方をしているけれど、恫喝されたように感じてしまう。

 固まる私に、京介君はその話は終わりとばかりにまた話を戻した。

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