Under The Darkness





「ちがっ、違う! 近いようなことはいっぱいあるけど……」


「……いっぱい?」


 京介君は唸るようにして呟く。

 躊躇しながらも、私は「うん」と頷いた。


「いつから」


「え、まだ? まだ言わんとアカンの? ……え、えと、4才とか、そんくらいから、かな」


 もうええ? 話すん終わりにしてええ? 目で訴えてみる。

 けれど、京介君は「さっさと言え」と、同じように目で威圧してくる。

 話すしかないのかと、私は大仰に嘆息した。


「……私、身体が小さかったから。他の子よりずっと。近所のおっちゃんに家ん中連れ込まれて……服ハサミで切られたん……もうええかな?」


 おどおどと、もう話すの終わりたいと訴えた。けれど、「話せ」その一言だけで京介君、また怖い顔で睨んでくる。

 話さないと尋問は終わらないのだと悟り、俯きながら再び口を開いた。


「……おっちゃんに裸にされて、か、身体ん中に無理やりねじ込まれそうになって……痛くてめっちゃ泣いて。でも、私の身体が小っちゃすぎたから最後まで出来んかったんやて、悔しそうに言ってたん覚えてる。おっちゃんがトイレ行った隙に裸のまんま窓から逃げて、殺されるんは免れたけど。通りがかったおばちゃんが見つけてくれて、通報してくれたん。ほんで、あのおっちゃん捕まったんやけどな。……そんなんがこの年までずーっとあった」


 ずっと。なぜなのか。何故自分ばかりが狙われるのか。

 謎だった。

 その疑問の答えは、今も見つからない。


 容姿が珍しいから? 頭が弱そうだから? 他よりも小さくひ弱な体躯だったから? 


 そんなもの、クソ食らえだ。


 抵抗した。抗った。けれど、力では、言葉では、大人の男には適わないんだ。

 適わなかった。


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