Under The Darkness





 だから、何も言えなくなった。

 笑うことも出来なくなった。

 言葉を発することさえも。

 私が何かアクションを起こしたら、リアクションを返したら、それが誘っていると思われて狙われるのが怖かった。

 それは、男の子から『好き』と告白されるのも同様に恐ろしく感じて。

 『好き』だから。

 そう言って、男達は私を好き勝手しようとしたから。

 『好き』という感情を免罪符にして、だからこの行為は許されるのだと、そういって私を押し倒そうとした。

 豪もそうだ。

 『好き』だから。

 想いを返さない私を攫い、自分の欲望のまま好き勝手に嬲ったのだ。

 異性から好意を向けられることが、私は怖くて仕方ない。

 『好き』は、暴力を振るわれる前兆、合図だから。

 言われる度に、また襲われてしまうのではと恐怖した。

 だから、向けられる気持ちには激しく拒絶を示した。

 私には、相手に対する好意など微塵もないのだと。


 私はふっと自嘲気味に嗤う。


「逃げても、防御しても、戦ってみても、結局は男の力に子供が、女がかなうわけないんや。私があかんから、繰り返される。だから、途中で諦めてもうた」


 記憶を頭から切り離し、なるべく思い出さないようにしながら、淡々と口にした。

 京介君の顔から表情がすとんと抜け落ちてゆく。

 彼の顔にはなんの感情もうかんではいなくて。

 けれど、双眸だけは、嫌悪や憎悪、たくさんの負の激情を宿しながら爛々と鋭い光を放っていて。

 私はまた自嘲の笑みを浮かべた。


 ほら。

 やっぱり私は嫌われている。

 疎んじられている。

 私がなにか行動を起こすと、誰かの恨みを買ってしまう。

 そういう運命なんだと諦めた。

 もう、ずっと昔に。


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