Under The Darkness
――でも、もし見かけたら。
地の底から響くような昏い怒気を孕んだ声に、私はビクリと身体を竦ませた。
「そんときは、うちが丁重にお仕置きしてあげるからね。美里を見れんように目ん玉抉り出して、美里の香りを嗅げんように鼻を削ぎ落として、臭い息を美里が嗅がんでもええように唇縫い付けて、」
栞ちゃんが嬉々として話す内容に、魂が飛んで逝きそうになる。一気に涙が引っ込んだ。
私と同じ心情なのか、悠宇が震える声を上げた。
「し、栞、もうええ、怖いわ」
「あら。悠宇はビビりやねえ。これやから男はアカンのよ。なあ、美里」
同意を求められて、私はコクコク頭を縦に振る。
栞ちゃんは怒らせたら怖いのだ。
多分、京介君並みに。
ちらりと京介君を見たら、我関せず、スマホを手に電話中だった。
ギャーギャー言う私達を見て、煩いと言わんばかりに睨まれる。
怖っ! と、蒼くなる顔を逸らした。