Under The Darkness






 その時、いきなり悠宇が私の胸元に手をかけて、「なんじゃこれ!」と、バッと左右に開いた。私、一瞬のことで頭が真っ白になってしまって。

 扉にもたれ掛かるようにして電話をしていた京介君が、手にしたスマホを投げ捨て、もの凄い速さで駆け寄ってきた。私のガウンを掴んだ悠宇の手を叩き落とし、さらに足で蹴り飛ばす。

 そして、露わになった私の胸を素早く隠してくれた。


「ぐあっ、また蹴られた……っ! ヤクザもんがっ! ああっ、みぃちゃん、その身体の傷……またやったんか!?」


 『また』という言葉に、京介君が反応する。

 私はなんだか申し訳ない気持ちになって俯いてしまう。

 栞ちゃんは、項垂れる私の頭をくしゃりと撫でた。


「しゃーないやないの。死のうって考えるよりずっとええ。傷つけたらええんや、なんぼでも。気ィ済むまでな」


< 94 / 312 >

この作品をシェア

pagetop