Under The Darkness




「自己紹介がまだやったねえ。うちは、相良栞《さがらしおり》言います。お名前聞かせてくれはる?」


 小首を傾げた可愛らしい仕草で、けれど、栞ちゃんの目は京介君を射殺さんばかりの殺気を放っていて。

 私、栞ちゃんの腕の中でビビりまくった。


「栞さんですね? 私は馬淵京介。関係は、美里さんの異母弟になります」


 取って付けたような優等生な笑顔。私の眉間に皺が寄る。


「ごっつええ男やねえ。なあ、美里の自称・弟くん? けどなあ、弟言うには無理がある設定ちゃう? オネエチャンって甘えたい願望があるただの変態の方が納得いくなあ。なんやろな、馬淵さん、アンタ、いけ好かんわ。顔が綺麗すぎて気持ち悪い。能面みたいで鳥肌立つしな」


 初対面であまりの暴言に、私は度肝を抜かれた。

 でも、思わずそうそうと頷いてしまう。

 京介君は感情が見えない能面顔なんだ。

 栞ちゃんの言葉に、京介君呆気に取られた顔してる。それがなんだか面白くて。


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