Under The Darkness



「で? 美里を裸に剝いたんは、アンタ?」


「まさか。医者ですよ」


 優等生風な顔はそのままに、京介君は少し困ったように眉根を寄せた。

 京介君の顔に、『この女は苦手だ』と書いてある。

 京介君にも苦手なものがあるんだと、ちょっと嬉しくなった。


「ホンマかなあ?」


「――私が剝いたとでも?」


「やりそうやない? 馬淵サンやったら」


 穏やかだけど詰問するような迫力で、栞ちゃんははんなりとした笑顔のまま京介君を睨みつける。

 京介君、むっつりと黙したまま。

 なんだかふたりのやり取りが面白かった。

 クスクスと笑みを噛み殺す。
< 97 / 312 >

この作品をシェア

pagetop