この恋、国家機密なんですか!?


「いえいえ、実は私も避難者なんですけど、普段は添乗員で……。何もしていないと落ち着かないので、お手伝いさせてもらってたんです」

「あら……じゃあ、あなたも警察官のご主人が?結婚しているのに添乗員を続けるのは大変じゃない?」


ご婦人の悪気のない質問が、胸にグッサリ突き刺さる。


「い、いえ……お友達というか、なんというか……」


なんとかその場をやり過ごそうとしたのに、顔を上げるとご婦人が興味津々な顔でこちらを見つめていた。


「恋人なの?」


……違うんじゃないかなぁ。


「いえ……」

「じゃあ、愛人さんとか?あ、責めてるわけじゃないのよ。愛には色んな形があるもの」
 

なんだそれ。

自分が恋愛という土俵から退いて久しいからといって、やたらと他人の事情に首を突っ込まないでよ。

小綺麗な服を着て、幸せそうに笑うご婦人が憎らしく見えた。

あぁ、こんなに心の小さい自分が嫌いだ……。

なんて返したらいいかわからなくて、笑って流そうとしていると……。


「私は主人と息子が警察にいてね……。二人ともあまり帰ってこられないの。他にも子供はいるんだけど、みんな忙しくてね……私すねて、ひとりで避難してきちゃった」


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