この恋、国家機密なんですか!?


ぽつーん……。

完全に取り残されてる……。

部屋のすみにいた大西さんは、真面目な顔をして警護中。

とても話しかけられそうにない。


「……ま、いっか……」


子供じゃあるまいし、集団の中で一人きりでも、寂しいなんて思っちゃダメだ。

私は空いているところに座り、かぱっとお弁当のふたを開けた。

普通の幕の内だけど、美味しそう。

ちくわの磯部揚げにかじりついたとき、不意に話しかけられた。


「あの……」

「はひ?」


ちくわをくわえたまま顔を上げると、50代後半と思われる女性が、微笑みながらこちらをのぞいていた。

顔が丸くて、目が細くて、優しそうな印象のご婦人だ。


「あなたは、添乗員さんなの?先ほどからてきぱきとしていらっしゃったでしょ。警察は親切ねぇ。避難に添乗員さんをつけてくれるなんて」

「うえっ、げほっ……!」


あまりに的外れな意見に、私はちくわをのどにつまらせ、むせてしまった。


「あらあら……はい、お茶よ」


差し出されたお茶を飲む。すると喉はすぐに落ち着いた。

ご婦人は優しく、私の背中をさすってくれた。

どうやら、ひとりで避難しているみたい。お連れ様がいない。








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