この恋、国家機密なんですか!?


ちゃんと仕事をしなきゃ、監視の目をかいくぐってここまで来た意味がない。


「ほら、見えますか?あそこにあるのが都庁です」


気持ちを切り替えてお客様を案内する。

その間にもエレベーターは行ったり来たりしていた。

けっこう他のお客様の出入りも多いみたい。

平日なのに、けっこうにぎやかだ。

家族連れ、カップル、友達同士と思われる男の子たち。

いろんな人がいるけど、みんなそれぞれ楽しそうだ。

この光景だけを見たら日本は本当に平和で、自分が本当は避難しなくちゃいけない立場だってことを忘れそう。

私のツアーのお客様たちは、夫婦で参加している人も多くいた。

80歳近いおじいちゃんとおばあちゃんが、寄り添い合って歩く姿は、なんともほほえましい。

水分が少なくなってしわだらけになった手をつないで、笑いあう。

そんななんでもない姿を見て、不意に泣きそうになった。


あの人たちもきっと、今まで楽しいことばかりじゃなかったはずだ。

時にはつらくて悲しいときもあっただろう。

だけど、それを一緒に乗り越えて、ここまで来たんだ……。


ジジババなんて、今までバカにしてごめんなさい。

あなたたちは、やっぱりすごいです。



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