この恋、国家機密なんですか!?


それでも、私は。


「私は……それでも私は、宗一郎さんのそばにいたいです」


自分の決意を伝える。

宗一郎さんは、それを聞くと……。

一瞬だけ、泣き笑いのような表情を浮かべた。

だけどすぐに、左腕で顔を隠してしまう。


「……まだ眠いみたいだ。寝かせてくれるか」

「はい……」


人の気持ちを聞くだけ聞いて、これからどうするのかは、言ってくれない。

なんて意地悪な人なんだろう。

不満は尽きないけど、今は……詩織さんのことを思い出したりして、弱ってるんだよね。


「また、来ます」

「こなくていい。明日から、お互いに事情聴取で忙しいだろうから」

「…………」


まさか、また姿を消すつもりなのかな。

じっとにらむと、視線を感じたのか宗一郎さんがそっと顔を隠した手をどかす。

真っ黒な瞳に射抜かれて、どきりとした。


「退院の日が決まったら、連絡する。そうしたら、来てくれるか?一緒に行ってほしいところがある」


思いがけない申し出。

びっくりしたけど、私はうなずく。


「でも、どこへ?」

「それは、当日話す」

「また……」



< 194 / 214 >

この作品をシェア

pagetop