この恋、国家機密なんですか!?


「……では皆様、3時にバスにお戻りくださいね。遅れた方は、ここがよほどお気に召したということで、置き去りにさせていただきます」


目的地、愛知県名古屋市にある名古屋城に到着。

ジジババからひとつ笑いをとり、無事に彼らを送りだすと、ほっとため息が出た。


「お疲れ様です」

「うわぁ!」


突然声をかけられ、ぴょこんと飛び上がってしまった。

振り返ると、大西さんがくすくす笑っている。

ビックリした……この人たち、足音しないんだけど。

二人は車中で着替えたのか、私服になっていた。

二人ともやりすぎないお洒落さんだ。


「高浜さん、不審人物もいませんし、みそカツでも食べに行きましょうよ」

「いや……俺は結構。大西、先に休んで来い」


大西さんは少し寂しそうだったけど、やがてひとりで歩いていってしまった。

あとには高浜さんと私だけが残される。


「えっと……私一応、お客様方の姿が見える場所に移動しようと思うんですけど」


今日はがっつりガイドするわけじゃないけど、ジジババばっかりだし、一応何かあったときの用心に。


「なら、ご一緒します」


高浜さんは、にこりと笑った。



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