この恋、国家機密なんですか!?


「……ちょっとすみません。俺、これを買ってきます」


高浜さんはオカザエモンをひとつ持ち、レジに向かう。


「そういうの、好きなんですか?」


意外。激しく似合わない。

聞くと、高浜さんは恥ずかしそうに苦笑した。


「いや、俺は興味ありませんが、うちの嫁がこういう変なものが大好きなんです」


嫁……。あぁ、お嫁さんかぁ。

あのときの彼女かな?
それとも、別の人?

どっちにしても、驚きはなかった。

だって、あれから3年経ったんだもんね。

宗一郎さんと同じ年くらいに見える高浜さんが結婚していたって、不思議はない。

むしろこんなにカッコいいのに独身って言われた方が不思議だよ。


「……いいなぁ……」


うちの嫁、だって。
なんて素敵な響きなんだろう……。


「なにか?」


高浜さんが振り向く。


「なんでもありません」


私は力なく笑った。
うまく笑えた手応えは、なかった。



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