この恋、国家機密なんですか!?
「……高浜さん、どうします?」
ゆっくりとアパートの前で止まった車内で、大西さんが高浜さんにたずねる。
「どうかしたんですか?」
「うんとね、やっぱり変な男がついてきてるみたいなんだよね。ご飯を買ったコンビニくらいからかな」
「えっ!」
後ろを振り返ろうとした私の頭を、大西さんが後部座席から抑える。
無理やりじゃなく、ふわりと頬をなでながら。
まるで恋人にするような仕草に、私は硬直する。
「──静かに。気づいていないふりをしよう」
ゆっくりと離れていった大西さんの代わりに、高浜さんが小さな声で言う。
「さて……どうします、唯さん。少し危険を伴いますが、取り押さえましょうか?実害がまだないので逮捕はできませんが、注意くらいならできますよ」
高浜さんは真剣な顔。
そんなのSPの仕事じゃないのに……なんて親切な人たちなんだろう。
「でも、危険を伴うって……?」
「俺とあなたが、車を降り、アパートへ向かう。その間に大西が不審者を取り押さえます。だけど、確実にうまくいくとは限らない。不審者が攻撃してくる可能性もあります」
「催涙スプレーとかで目つぶしてこられたりしたら、いくらSPでも隙ができちゃうからさ。その間に唯ちゃんと高浜さんの方へ不審者が向かう可能性も、0じゃないってわけ」
まあ、普通のストーカーだったらよっぽど大丈夫だろうけど……。
と大西さんは付け足した。