愛を知る小鳥
「急に呼びつけて悪かったな。御堂、下がっていいぞ」

「かしこまりました。では香月さん、失礼致します」

そっと頭を下げると御堂は専務室から出て行った。
そして室内には2人だけが取り残される。
美羽は緊張のあまりただ突っ立っていることしかできずにいた。


「総務部長から聞いたと思うのだが」


ふいにかけられた言葉ではっと我に返る。


「あ、あのっ! お話は伺ったのですが、何かの間違いじゃないでしょうか? 私は短大卒でまだ3年目の新人みたいなものですし、秘書が務まるような人間ではありません。それに、こんな辺鄙な時期の異動だなんて、ますます意味がわからないです。な、何故なんでしょうか? 考えたんですがどうしてもわからな…」

「ストップ、ストップ!! 君が突然の話に戸惑っているのはよくわかった。とにかく落ち着け」

「は、はい…申し訳ありません…」


降って沸いた予想外の話に加え、初めて間近で見た専務の存在感でもはや美羽はパニック状態だった。柄にもなく早口でまくし立ててしまい、止められるまで我に返ることができなかった。


「まずはっきり言っておくがこの話は間違いでも何でもない。私が君を指名したんだ」

「そ、そんな…何故ですか?」
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