愛を知る小鳥
「まぁ突然の人事で大変なことは認める。だがあくまでお前の能力を買ってのことだ。給与も今よりグッと良くなる。お前のキャリアアップのためにも決して悪い話じゃないはずだ」

「…いつから異動になるんですか?」

「来月頭だ」

「は、はぁっ?! 来月頭って…もう来週のことじゃないですか! あと数日しかないですよ! 今のやりかけの仕事だってあるし、引き継ぎだって…」

「そのあたりはきちんと話をつけてる。何も問題はない。お前が心配するようなことは何もない」

「何もないって…」


そんな馬鹿な。いくら下っ端社員だとはいえそれなりに自分の仕事に誇りと責任をもってやってきたのだ。それがこんな急にあっさりと手を引けだなんて…あんまりだ。どうして私がこんなことに。ただひたすら真面目にやってきただけなのに、こんな形で裏目に出てしまうなんて。


「色々言いたいことがありそうだな? 今なら無礼講で何でも聞いてやるぞ?」

美羽の納得できない顔を面白そうに見下ろしながらフッと笑みをこぼす。


…この人、面白がってる?
最低だ。人のことを何だと思ってるの?

確かに見た目は極上にいい。おそらく噂通り仕事もできるのだろう。
だが、根本的に欠陥を抱えている。出会ってほんの数十分でそれがわかってしまった。
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