愛を知る小鳥
フッと目を細めて優しい顔で笑った。

うっ…その顔は反則でしょう。
こういうタイプの人って、自分の顔がいいことを自覚した上でそれを最大限利用しているに違いない。全くタチが悪いったらありゃしない。
いくら恋愛に興味がないとはいえ、こういうところに騙されないようにしなければ。

「まぁそういうことだから、来週から宜しく頼む。細かい引き継ぎなんかはさっきの御堂からしてもらうから。基本的なことは彼女から聞いてくれ。とりあえず今はこれだけだな。仕事中に呼び出して悪かったな。もう部署に戻っていいぞ」

「…わかりました。では失礼します」


ぺこりと頭を下げて踵を返し、専務室のドアノブへと手をかけたその時、


「あ、一つ言い忘れてたけど」


…?
まだ何かあるのだろうかと後ろを振り返った美羽に信じられない言葉が飛んできた。









「俺に惚れるなよ?」








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