愛を知る小鳥
「美羽。俺を捨てて新しい生活を始めるのか」

「っ、違います! 捨てるだなんて…そんなんじゃないです!」

「じゃあどういうことだ」

彼の声はとても静かだけれど、そこには怒りも悲しみも全ての感情が込められている。短い言葉の中からそれが痛いほど伝わってきて、そうさせているのは自分だと思うと激しく胸がしめつけられる。握りしめた手のひらに力を入れると、真っ直ぐ潤の目を捉えた。

「私…私といるとあなたに迷惑をかけてしまう。今回のことだって、一歩間違えたら潤さんは…そう考えただけで怖くて怖くて堪らないんです。自分のせいで誰かの人生を狂わせてしまうことなんて…私には耐えられない。たとえ離れていても、あなたが元気でいてくれたら…それだけで充分なんです」

溢れ出しそうになる涙を必死で堪える。
ここで泣いてなるものか。そんな卑怯な真似は絶対にできない。
震える唇をグッと噛みしめる。
そんな美羽を潤はただ静かに見つめると、しばらくしてはぁと息を吐き出した。

「…美羽。俺のいない人生でお前は幸せになれるのか?」

「…な、にを…」

「答えろ。幸せになれるのか」

真っ直ぐな言葉が心に突き刺さる。彼がいない幸せなどあるはずがない。
…それでも、自分の幸せを求める資格など私にはないのだ。
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