愛を知る小鳥
射貫くような目でじっと見つめる彼をまともに見返すことができない。
幸せになれると、嘘でもいいからそう答えればいいだけの簡単な話。
それなのに、何故そうできないのか。

「私は…あなたがいなくても生きていけます」

「答えになってないな。ちゃんと質問に答えろ」

精一杯振り絞って出した答えはすぐに切り捨てられた。
駄目だ…これ以上ここにいたら彼のペースにもっていかれてしまう。
離れられなくなってしまう。

「…今までありがとうございました。……さようなら…」

震える声で何とかそれだけ口にすると、勢いをつけて潤のいない方へ走り出した。


「 俺は 」


その言葉に思わず足が止まる。止まってはいけないとわかっているのに。この場を立ち去らなければいけないとわかっているのに、金縛りにあったように動けなくなってしまう。
そんな私は矛盾だらけの大馬鹿者だ。

「俺はお前のいない幸せなんてあり得ないよ」

心が激しく揺さぶられる。
私も…私だって同じ。あなたのいない幸せなんてどこにもない。
だけど。それでも…
動かない足を必死で前に一歩出す。



「美羽。俺はお前のいない天国に行くくらいなら、お前のいる地獄を何の迷いもなく選ぶよ」


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