愛を知る小鳥
「潤さん…?」

問いかけも気にせず部屋の奥まで突き進むと、美羽の体をそっとベッドに横たえる。すぐに顔を挟むように両手をつけ、上から見下ろす形で覆い被さった。美羽は突然のことにどうしていいかわからない。

「あ、あの、潤さん…?」

「お仕置きだって言っただろ?」

「え?」

潤は指の背で美羽の唇とつーっとなぞる。それだけのことであり得ないほど背筋がゾクゾクする。

「予定変更だ。俺を置いていこうとするような奴にはしっかりわからせないと」

「な…何をですか…?」

ドクンドクンと心臓があり得ないほど速く動いている。
潤はその言葉に艶めかしい笑みを浮かべると、唇に触れていた指をそのまま顔をなぞるように動かし耳たぶに触れた。ピクッと反応する姿に満足そうにすると、そのまま顔を近づけて頭が痺れてくるような声で囁いた。

「二度と俺から離れようなんて思えないように、お前の全てに俺を刻み込んでやる」

ドクンッ…

言葉の意味を理解した瞬間、美羽の脳裏に過去が蘇る。それを瞬時に察知した潤が美羽の頬を優しく撫でた。
美羽は目の前にいる人物を見た。彼は未来そのものであって過去ではない。言葉ではああ言いながらも、その瞳は優しさと慈愛で満ちあふれている。
美羽は置かれた手に自分の手を重ねると、微笑んでゆっくりと頷いた。
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