愛を知る小鳥
「わぁ、ほんとに可愛い。目元なんか成田さんにそっくりですね」

「でしょでしょ? 皆嫁に似てるって言うんだけど俺に似てるよね?」

「コラ、成田君! 香月さんが引いてるでしょ! 香月さん、娘さんの話を迂闊にするとドツボにはまっちゃうから気をつけた方がいいわよ」

身を乗り出してきた成田に思わず引いてしまったが、間髪入れずあかねのツッコミが入ってほっとした。

「本当に大事なんですね」

「香月さんは? 結婚考えてる人とかいないの?」

「まさか! 私はそういうのは全くです」

「あら、香月さんって性格もいいし可愛らしいし、お付き合いしたいと思ってる人はたくさんいると思うわよ」

横で聞いていた佐倉が話に入ってきた。

「いえいえ、本当にそんなことは全くないです」

「どういう人がタイプなの?」

「ちょっと成田君、香月さんにちょっかい出しちゃ駄目よ?」

あかねがクスクス笑っている。いい感じでお酒が回ってきているようだ。

「だーから違いますって! …で、どんな人がタイプなの?」

タイプと言われても困る。だって全く興味がないのだから。
今まで好きになった相手がいるとしたら、おそらく小学校や幼稚園の淡い恋心まで遡らなければならないほど、美羽の人生の中で異性に惹かれたことなどない。
そしてそれはきっとこれからも…

美羽が答えに困っているとふいに個室のドアが開いた。
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