愛を知る小鳥
「誰がドSだ」

「あら、専務がドSじゃなかったら他に誰がいるのかしら。専務がSじゃないならこの世の9割の人はドMってことになってしまうわね」

先程から要所要所で入ってくる佐倉のツッコミはなかなかに面白い。一気にその場が笑いに包まれた。

「佐倉さん…勘弁してくださいよ」

会が始まって1時間程過ぎてやってきた潤と最初からいたメンバーとでは当然温度差があり、そのテンションにまだついていけず潤は苦笑いだ。

「いつもこんな感じなんですか?」

「ん? あぁまぁだいたいこんなもんだ。御堂と成田が勝手に盛り上がって、そこに時々佐倉さんが鋭い切り込みを入れるって感じだな」

「皆さん仲がいいんですね。正直こんな雰囲気だとは思ってもいなかったので驚きました」

「まぁ少人数だし百井とお前以外はもう長いからな。年も近いし自然とこうなっていったって感じだな。俺もめったに参加しないんだが、した時にはこうやっていじられてばっかりだよ。ったく誰がドSだってんだ」

いかにも不服そうに顔を歪める姿がまるで少年のようで、思わず美羽は笑ってしまった。

「なんだよ」

「あ、すみません。なんだか専務がいじける少年みたいに見えてしまったので…ふふっ」

そう言って笑う美羽の姿こそまるで少女のようで、潤は目を細めて見つめた。

「お前こそそうやって笑ってると別人みたいだぞ」

「え?」

ポソっと呟いた声が美羽に届くことはなかった。
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