キミと見た景色をもう一度
学校に着くと、今は“普通”の生徒が使っていない音楽室へと足を運ぶ。
ここは、私みたいな人にとっては教室のようなものだ。
使われていなくても、一応古びているがグランドピアノや机、椅子はある。
それだけで十分だ。
自分の指定席に座り朝同様、頬杖をついてまだの外を眺める。
すると、反対側のドアが開く音がした。
「おはよう、憂。今日は早いんだね」
「・・・・・・・はよ、拓人」
ぼけた顔をして、立っているのは私と同じようなモノを抱えている『萩原 拓人』。
でも・・・拓人は私と同じようで同じじゃない。
拓人には、血の繋がった家族がいる。
両親や兄弟がいる。
でも、私の周りにいるのは私と同じような境遇で育った子供の寄せ集め。
血が繋がっているわけじゃない。
親がいるわけでもなければ、兄弟がいるわけでもない。