蒼夏の刹那
夕暮れ近くになるまでリビングのソファに座ったまま、ぼーっと過ごす事にした。



テレビをつけるでもなく、本を読むでもなく、ただじっとしているだけ。



端から見たらおかしいかもしれない。馬鹿げてると笑われるかもしれないけど、ただ――信じたかった。



例えありえない事だとしても、心が勝手に作り上げる虚像の世界。



叶うはずもない夢。



「もうすぐ、もうすぐ蒼に会えるの……今度はもう、絶対離れない」



幸せになる。



幸せに、なれる……



「なのに、どうして涙がでるの?私は、私は、もうすぐ蒼と幸せになれるのに……」



また、ぽろぽろと零れる涙。



一度零れた涙が止まる事はなく、涙は後から後から零れて服を濡らした。



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