蒼夏の刹那
そんな事もあって、影で見守る――オレにはそんな事しかできなかった。



恋愛は、自分の幸せじゃなくて相手の幸せを願うもの。



だから、蒼と藍花が幸せならそれでよかった。



もしかしたら……蒼はオレの気持ちに気づいていたのかもしれない。



でも、オレの願いと想いを理解していたからこそ、蒼も何も言わなかった、ってオレはそう思ってる。



――でも、



蒼が事故で亡くなった時も、藍花がオレを忘れてしまった時も――深い哀しみと痛みを覚えても、オレは。



蒼と藍花をどうしたら守れるのか。



どうしたら救えるのか。



その事しか頭になかった。



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