蒼夏の刹那
今日もまたひとつ、思い出が増える。



葉桜が写るように、私を真ん中にして蒼は携帯を翳し、写メを撮った。



「今度は冬に撮るの?」

「せやな」

「でも、冬だと葉もないよね」

「ええやん。桜は桜やで」



速水くんと蒼のやり取りに、思わず笑みが零れる。



「冬も楽しみだね。でもその前に、秋だよ」

「秋の桜も格別やからな」

「格別……秋と冬の桜がどうのって語る人、日本中どこ探しても蒼だけだよ」

「なんやと!?」

「違いあまりないと思うけど」



蒼と速水くんの言い合いを聞きながら、私は葉桜を見つめる。






とても幸せな今日は葉桜日和。






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