翼~開け放たれたドア~
「春輝さん、そんなに雷がいいんですか?」

いいとこでくんじゃねえよ、龍也…。

せっかく春輝が俺に笑ってくれてんのに。

春輝は俺の服から手を離し、ショボンとする龍也の頭を撫でる。

それでも少しだけ不機嫌な龍也は、二人掛けのソファーにドスッと座り込む。

“?”を浮かべる春輝に手招きをして、龍也は近づいてきた春輝を自分の足の間に座らせた。

そのまま後ろから春輝の腹に手を回し、抱きしめると、ようやく龍也は機嫌を直した。

だけどそれとは正反対に、俺の機嫌は悪くなった。

「龍也ずるいぞ!!」

「春輝さんは俺がいいですもんねー」

「なっ!俺のほうが春輝とずっと一緒にいるっつーの!」

「いや、お前バカだし」

「関係ねぇだろ!!」

「雷、龍也」

「え、は、は、はい!」

「あーっと…春輝、さん…?」

春輝の低い声に、俺は震えて噛みまくり、龍也は顔を青くした。
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