翼~開け放たれたドア~
「……っ!!」

痛みと恐怖で歪んだ顔。

私はそれをただ無表情で、冷たく睨みつける。

「……命令で…っ!」

命令…。やっぱりか。

緑華を狙うってことは、誰かの命令だとは予測してたけど…、当たってたな。

「誰からだ?」

「俺ら、の……上…」

「上?どこの上だ」

「……赤城、組…だ…」

──ドクン!

赤城組…?

「……そうか」

───バキィッ!

「ぐっ…!」

男の顔面を殴り、そのままその場を後にした。





──ドクン ドクン

心臓の高鳴りが大きくなる。

なんで…どうして…。

“お前は黙って私の言うことを聞いていればいい んだ”

私はあの人から逃げられない。

そんなことはわかっていた。

だけど。

「…どうして、あっちまでくる……っ?」

予想外だった。

あの人だけじゃないなんて。
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