翼~開け放たれたドア~
「…あ、そーいえばさ」

──ガタガタンッ!

本田飛鳥の突然の間抜け声に、その場の空気が緩くなってしまった。

相澤空夜と品川直以外の全員が、ガクッと崩れてしまったじゃねぇか。

せっかくかっこよく終われそうだったのに。

「はぁ…飛鳥。少し空気読もうか?」

「え、空気って読めるの?」

「…………」

品川直は、それ以上何もしゃべらなかった。

本田飛鳥……、お前よく高校入れたな。

「え、何?何?」と不思議そうなそいつに、「…で?何があったんだ?」と聞いてみる。

くだらなかったら、マジで殴るかもしんねぇ。

「あのさ。理事長の話だと、篠原組の組長って逃げたまんまみたいだけど…」

品川直を見やる本田飛鳥。

「直は、そいつが捕まって刑務所にいるって言ってるからさー。
変だなーって思って」

変なとこだけ鋭いんだな。お前。

そう、心のなかで突っ込んどいた。

…ってかさ。

「俺…また言い忘れてた?」

「あぁ。ばっちりな」

龍也の呆れ声に、“やっちゃった感”全開。

今更言い訳なんて通じねぇだろうしな。
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