翼~開け放たれたドア~
「……恋……恋…」

そう小さく繰り返す。

実感がわかないけど…でも……。

私が空夜のことを好きだということだけは変わらないんだ。

あれ?でも…“好き”だけじゃない気がする。

もっとこう……、なんなんだろう…?

好きだけじゃないの。

好きよりもっと大きくて…胸があったかくなって……。

他の誰に感じるのとも違うこの気持ち…。

うーん…と、考えていると、

「……あ」

「ふふ。気づいたかしら?」

お母さんが私の顔を覗き込む。

「……うん」

私はしっかりと頷いてみせた。

頭に自然と浮かんできた5文字。

これが……

「そっか…。“恋”……」

なんだか心がすこしだけ晴れていくような感じだ。

ふと周りを見れば、あの空が崩れる音も、枯れていた草や花もなくなっている。

「……そう、心を強く持ちなさい。
私はいつでも見守っているわ」

そういえば、ここって私の心で作られてるんだっけ。

「恋は人を時に弱くするけど……、それとは反対に強くもなれる。
春輝がどうなるかは…春輝自身次第よ」

私…自身だもん……ね…。

私はそっと、自分の胸に手を当てる。

──うん。大丈夫。

私、きっともう……、歩いていける。
< 445 / 535 >

この作品をシェア

pagetop