明日、嫁に行きます!
「鷹城様。あちらの男性は、斉藤事務機の社長で、私どもから見ると孫会社にあたりますね」
「隣の女性は?」
「あちらは斉藤氏の長女とのことです」
瞬間、言葉を失った。
あんなに美しい女性なのに、父親がアレか?
見る限り、似ているところは皆無だった。
二人の関係性が気になっていた自分としては、ホッと安堵する。
彼女があの男の恋人とか愛人だったら、どんな制裁を加えてやろうかと腹黒い思考に支配されていた。
ふたりが親子だとわかっても、安心しきった様子で父親の肩にもたれ掛かる彼女を見るのは何とも腹立たしい。胸の中にある正体不明な不可解な黒い感情がひどく僕を苛立たせる。狭量だと自覚はあるが、仕方がない。
じっと観察していると、やはりあれはルネに違いないという確信が胸の奥にわき上がる。
ルネのことを忘れたことはなかったが、まさか再び逢えるとは思っていなかった。
12年前のあの日、重責に押しつぶされそうになり自暴自棄になっていた僕を救ってくれた天使。
僕は非現実なことは信じない。
けれど、今日の出会いは僕にとってはまさに奇跡。
過去の出会いは偶然ではなく必然だったのだと確信した。
彼女こそ、僕の運命だと信じることが出来た。