明日、嫁に行きます!
 式も終盤に近付き、僕は他関連会社の社長や役員達の対応に追われていた。
 自分がしないければならない事案は早々に切り上げて、残りは徹に任せ、ルネの姿を探す。
 視線を四方へと流し、ハッとした。

 ――――何故お祖母さんとルネが一緒に?

 整然と並んだ椅子に腰掛けるのは、自分の祖母と探していたルネだった。
 僕の祖母と仲よさそうに話してはいるが、祖母はかなりクセのある女性だ。
 性格など、僕と彼女はとてもよく似ているので、一筋縄ではいかないと自覚している。
 いやな予感がする。
 僕は小さく舌打ちを鳴らすと、足早にふたりの元へと向かった。

「お祖母さん、こちらにいらしたんですか。探しましたよ」

 祖母が不在で心配したと声を掛けた僕は、すっとルネに視線を合わす。

「こちらのお嬢さんは?」

 僕の登場に驚いた表情を見せたルネは、不機嫌そうに眉根を寄せながら何故か睨んできた。

 ――――彼女は僕のことを覚えていないのか。

 そのことに落胆した。
 けれど同時に、忘れていてくれて良かったとも思う。
 あの頃の僕と今の僕は外見が全く違う。

 ……悪い意味で。

 だけれども。
 何故僕は親の敵のような目で彼女に睨まれてる?
 自慢ではないが、女性達は僕が見つめたら、総じて頬を染めながらうっとりした顔を見せるのに。
 意外な反応にどうしていいものか見当がつかず、戸惑ってしまう。
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