カラダ探し~第ニ夜~
「結局……お前らのやってる事は、『昨日』をメチャクチャにしてるだけじゃねえかよ。カラダを探さなかったら何も変わらないまま、あゆみが死にそうになる事もなかったんじゃねえか!!」


私達の声に、看護師や患者達が何事かと部屋から顔を出している。


「だったら、何もしないまま、袴田の大切な人が苦しみ続ける『昨日』を繰り返すのが良いって事?私は変えるよ……『呪い』を解いて、こんなひどい日を変える!」


「ふたりとも、もう良いからエレベーターに乗ってよ!皆見てるよ!」


私の言葉で、袴田の表情に迷いが見える。


留美子に手を引かれ、袴田と一緒に乗り込んだエレベーター。


一階のボタンを押して、階下へと動き始める。


「……『呪い』を解いたら、どうなるんだよ。あゆみは助かるのか?」


一階に着く直前に、そう呟いた袴田。


「そんなの分かるわけないじゃない。何も変わらないかもしれないし、変わるかもしれない」


今の袴田に殺意を感じなかった私は、一階に着いて開いたドアから廊下に出た。


病院の一階、ロビーの長椅子に3人腰を下ろし、私は必要な事だけを袴田に話した。
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