【短】不器用男子とFirst♡Kiss
うつむいて、唇を噛み締めていると、頭上からそんな声が降ってきた。
今、なんて……。
驚いて顔を上に向ける。
そして目に入ったのは、ほおを赤く染めた相田くんの顔だった。
「お前ニブすぎなんだよ。俺がどんだけ見てても全然気づかねぇし……」
「え……」
「どんだけ俺が、お前のこと好きか知らねぇだろ?」
「え、えっと……」
まるで恥ずかしさを隠すように早口で話す相田くんは、無愛想でもクールでもなくて。
“かわいい”って思った。
「なに笑ってんだよ」
「だ、だって相田くんがあたしのこと好き、とか……。それに、照れてる相田くん、かわいいなって」
つい笑みがこぼれた。
さっきまで泣きたいくらいだったのに、相田くんの照れてる顔と今の言葉で……そんなの、吹っ飛んでしまった。
あたしって、意外と単純なのかな。