ストーキング☆ロマンス
【4】
「で、どうしていつもあんなとこにいるの?」
温かいコーヒーが入った紙コップを手渡しながら、再びその質問をしてきた。
「どうしてって…」
私は口ごもってしまった。何を言えばいいんだろう。
何を言えば、嫌われずに済むんだろう。
「言いたくなかったら、無理に言わなくていいけど」
そう言う彼の横顔が優しかった。

ここでもし言わなかったら、もう二度とこんなチャンスは無いだろう。
もうこのコンビニに来る勇気も無くなるかも知れない。

私は勇気を振り絞った。

「怒らないで聞いてくれますか?」
恐る恐る立岡さんの顔を見上げた。
ちょっと驚いた顔をしていたけど、彼は微笑んで言った。
「怒らないよ」
私は深呼吸して、呟いた。
「多分私、立岡さんのストーカーなんです」
「え?」
彼の顔から、笑顔が消えた。自分の名前を知っている私に驚いているようだった。
どうしよう、と思ったけど、もう引き返せない。
私は続けた。
「私、1か月前にここで、あなたを見たんです。その、一目惚れ、しちゃったみたいで…。
それから立岡さんっていう名前も分かって、毎日通って働いてる曜日と時間も調べて。
私、貴方がここにいるからいつも外で見てるんです」
彼は何も言わない。
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