腹黒王子に囚われて
「おまっ……
朝からふざけんなよ?!」
はめられたことに恥ずかしさを感じたのか、怒って声を上げた瑛太。
「優等生くんが台無しだよ?」
「うっせえよ」
あたしの隣にいる瑛太は、どこをどう見ても
学校の女子が騒ぐ、新條瑛太には見えなくて……。
「あたしはやっぱり、
今のあんたのほうが好きだけどね」
なんて、柄にもなく
微笑んでそんな台詞を言ってしまった。
「……」
それを言われた瑛太は、なぜか口を開けたまま立ち止まって
気づかず数歩歩いてしまってから、後ろへ振り返った。
「どうしたの?置いてくよ」
「……笑った」
「……ああ」
確かに今、ちゃんと笑ったわ。
言われて気がついた。
とくに意識してないし。