ヴァニタス
お金はそんなに持ちあわせていないから、ホテルには泊まれない。

携帯電話も持っていない。

家政婦として働けるうえに、ただで住むことができる。

そのうえ、この崖から近いところに家はあるそうだし。

だから、いつでもここから飛び降りて死ぬことができる。

「本当か?」

彼が念を押すように質問してきた。

本当かって、提案を出したのはそっちの方じゃない。

私はそんなことを思いながら、
「本当です」
と、質問に答えた。
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