ヴァニタス
そんな訳ないよね。

赤の他人である私の自殺を止めて、家政婦として一緒に住んでいる。

私が作ったご飯は美味しいと言いながら食べてくれている。

警察に私たちの関係が夫婦だって勘違いされても、武藤さんは何も言わなかった。

悪魔が警察に捕まっても、私と一緒に住んでいる。

なのに…どうして武藤さんは話をしてくれないのだろう?

「果南ちゃん?」

武藤さんが私の名前を呼んだ。

「もう、話をしてくれたっていいじゃないですか」

私は武藤さんの方に身を乗り出した。

「きゃっ…!」

すぐに自分がいた場所を思い出した。

そうだ、私はソファーのうえにいたんだった!
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