ヴァニタス
灯油のような匂いがますます強くなった。

ストーブでも焚いていたのかしら?

5足靴を並べたらいっぱいになるであろう小さな玄関で靴を脱ぐと、床に足をつけた。

バタンとドアが閉まる音がした。

その音に反応したと言うように武藤さんの方に視線を向けると、靴を脱いでいるところだった。

違うよ。

武藤さんは、違うんだから。

別人なんだから。

「んっ、どうしたの?」

武藤さんと目があった。

「あっ、いえ…」

首を横に振った私に、
「玄関から入って右のところにトイレとバスルームがあるから。

ホテルみたいに一緒の部屋にあるから、バスルーム使う時はカーテンをひいてから使ってね」

武藤さんが説明してくれた。
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