ヴァニタス
もう半分の方のリビングに視線を向けると、擦り切れた革製のソファーがあった。

ベッドは見当たらないところを見ると、武藤さんはソファーをベッド代わりに使っているようだ。

「あっ…」

目の前はテラスだった。

そこから広がっているのは、海だった。

先ほど私が飛び降りようとした崖もある。

…なるほど、武藤さんはここから崖にいる私を見て何事かと思って駆けつけたらしい。

「よく見えるんですね」

皮肉をこめて言った私に、
「購入する時に気に入ったポイントなんだ」

武藤さんは言い返した。
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