ヴァニタス
悪魔は虚ろな目で、私たちを見つめている。

「果南…。

僕も後から行くから…。

後から行くから、今すぐ死んでくれ…」

悪魔はブツブツと呟いて、ナイフを私たちの方に向けてきた。

「そしたら、あの世で一緒に暮らそう…。

2人であの世で、幸せになろう…」

私は何も返すことができなくて、震えることしかできなかった。

「頼む、死んでくれ!」

悪魔が叫んで、ナイフを持ってこちらに向かってきた。

その瞬間、私の視界が真っ暗になった。

「――ッ、うぐっ…!」

私の目の前にいたのは、
「――武藤、さん…?」
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