ヴァニタス
「どうして?

近いうちにきてくれるんじゃないの?」

母は不思議そうに聞いてきた。

私は武藤さんの病気のことと事件のことを母に話した。

「病気の方は落ち着いたけど、刺された傷のことがあるからまだ退院はわからないの。

今日は傷がふさがって少し歩けるようになったって言ってたけど」

そう答えた私だけど、母の返事がない。

「退院の日が決まったら、また電話するから」

そう言った私に、
「わかった、待ってるわ。

ちゃんと武藤さんのお世話をしなさいね?」

母はやっと返事をしてくれた。

「うん、ありがとう。

じゃあ、また電話するから」

「またね、待ってるわ」

ガチャンと、私は受話器を公衆電話に置いた。

 * * *
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