ヴァニタス
それから2ヶ月後、武藤さんの退院が決まった。

私は両親に武藤さんの退院とあいさつにくることを電話で報告した。

そして、今に至ると言う訳である。

「おみやげも持ってきたんだし、大丈夫だよ」

武藤さんは手に持っている老舗和菓子店の紙袋を私に見せた。

紙袋には、先ほど駅前のデパートに行って買ってきた甘夏のゼリーが入っている。

「はい」

ガチャッとドアが開いて、そこから母が出てきた。

母は私の姿に、
「本当に、果南なのね?」
と、聞いてきた。

「うん、私よ。

果南よ」

私は母に言った。
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