ヴァニタス
「これ、つまらないものですがよろしければ…」

武藤さんが父におみやげを渡した。

「ああ、これはどうもご丁寧に」

父は武藤さんの手から紙袋を受け取った。

武藤さんの手から紙袋を受け取った父の手は痩せていたうえに、青い血管が浮かんでいた。

母と同じ、父も私が見ない間に痩せてしまったんだと思うと、私は2年間自分から音信不通にしていたことを心の底から申し訳ないと思った。

両親に案内されるようにリビングへ行くと、何も変わっていなかった。

本当に我が家へ帰ってきたんだと、実感した。

私たちはソファーに腰を下ろした。

「武藤さんの話は全て果南から聞きました。

ストーカーに苦しんでいた果南を支えて、守ってくれてありがとうございます」

母が武藤さんにお礼を言うと、頭を下げた。

「いえ、とんでもないです」

武藤さんは手を前に出すと、横に振った。
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